プライベートゾーンの知識をつけることがお子さんを性被害から守る第一歩。
しかし、どんなに注意していても被害に遭ってしまう可能性はあります。
大切なお子さんの心と身体を守るために、保護者の方に今、知っておいて頂きたいことがあります。
「まさか」と思うことが現実に起きています
子供に悪いことをするのは、「知らない人」だけではありません。身近にいる、よく知っている人が子供の安全を脅かすこともあります。
実際に、
- 指導者から教え子への性的な接触
- 児童・生徒間の性的暴行
- オンラインゲームのチャットがきっかけとなった性的な被害
- 家族・親戚からの性的虐待
- 男の子を狙う性犯罪
など、「まさか」と思うことが現実に起きています。
この「まさか」という大人の思い込みが、子供のSOSを見逃すことにつながります。
子供のSOSのサインは思わぬ形で表れます
子供は、自分がされていることを被害だと認識することが難しいため、言葉ではなく行動や体調にSOSが表れることがよくあります。
- 夜尿やおもらし
- 頭痛や腹痛の訴え
- 突然の登園しぶり、登校しぶり
- ふさぎ込むようになる
- 怒りっぽくなる
- 一人でいるのを嫌がったり、親にまとわりつくようになる
- 卑猥な言葉を口にするようになる
- 他の人の性器を触ろうとするなどの性的行動
など
もちろん他の要因であることもありますが、これらは性被害のサインである可能性もあります。
SOSのサインかな?と思ったら
もし、いつもとちょっと違うお子さんの様子に気付いたら、「なにか困っていることがある?」「なんでも話してね」「何があってもあなたの味方だよ」などの言葉をかけて、安心して話せる雰囲気を作ってあげてください。
子供は、「こんなことが起きたのは自分のせいだ」「親を悲しませたくない、心配させたくない」「親から見捨てられてしまう」「自分さえ我慢していれば、家族が幸せでいられる」など、思いもかけない理由で話せないことがあります。
でも、「沈黙は勇気を貯める時間」です。
根気よく耳を傾けることで、話してくれる子供もいます。
お子さんの話を信じてあげてください
被害を打ち明けるのは、とても勇気がいることです。
「まさか?」と思うようなことでも、まずはお子さんの話を信じて、聞いてあげてください。
大きく嘆いたり、驚きすぎたり、疑ったりすると、子供は話を引っ込めてしまいます。
まずは、一呼吸置いて。
たとえどんな話でも、「よく話してくれたね」「話してくれてありがとう」と伝えてあげてください。
被害にあったお子さんを責めないで
たとえどんな状況であったとしても、悪いのは加害者であって被害者ではありません。被害にあったお子さんを責めないでください。
「なぜ」「どうして」という言葉を使うと、お子さんは責められているように感じてしまいます。
「あなたは悪くないよ」と伝えてあげてください。
専門家に相談しましょう
性的な被害には、通常とは異なる対応が必要になります。
- ●被害の内容を聞きすぎない 子供の記憶は繊細です。何度も話させると、心の傷つきを深めたり、正しく思い起こすことが難しくなります。
- ●被害にフタをしない 子供には回復する力があります。「忘れなさい」とフタをしてしまうと、被害体験を自分の中で処理できないままになってしまいます。
- ●親にもサポートが必要 親ごさんが受けるショックも大きなものとなります。お子さんを支えるために、親ごさん自身にもサポートが必要です。
「誰に」「何をされたか」が分かったら、事実の詳細について無理に聞き出さず、性的な被害の対応に精通した専門家に相談し、ケアとサポートを受けましょう。
お子さんが性的な被害に遭ってしまったら、
まずは、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に相談しましょう。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
全国共通 短縮番号
#8891はやくワンストップ★お近くの支援センターに繋がります
(全国共通短縮番号は一部のIP電話、PHS等からは繋がりません。こちらを確認し、お近くの支援センターへお電話ください。)
「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」は、性犯罪・性暴力に関する相談窓口で、医療、警察、法律などの総合的な支援につないでくれます。
相談できること
- ●こころやからだのこと 医療機関等において、必要な治療や心理的支援を受けることができるようサポートしてくれます。
- ●警察に相談したい、相談するかどうか迷っている 警察での支援、捜査、証拠採取等に関する情報の提供、警察に同行するなど、相談する際のサポートをしてくれます。
- ●法律や裁判のこと 弁護士等と連携しながら、法的な手続き等のサポートをしてくれます。
- ●妊娠や性感染症について 協力関係にある医療機関において、緊急避妊薬の処方や、妊娠・性感染症の検査等が受けられるようサポートしてくれます。
- ●その他(今後のことが心配等) その他、安心して安全に生活することができるよう、必要なことを一緒に考えてサポートしてくれます。
※連携している病院での医療費の全部又は一部は、自治体の公費などで負担してもらうことができます。
加害者を捕まえるために証拠はとても重要です。しかし、証拠は時間と共に失われてしまいます。
「加害者を処罰してほしい」とすぐには考えられない場合もあるかもしれませんが、後から気持ちが変わることもあります。
「今すぐ警察に届け出よう」と思わない場合でも証拠をとっておくことをお勧めします。
知っておきたい証拠のこと
- ●できればシャワーやお風呂を使う前に支援センターに相談しましょう。
- ●特に加害者の体液が体内に残っている場合は、病院で証拠採取してもらう必要があります。
- ●着ていた服なども大事な証拠になるので、洗濯せず、そのまま袋に入れて保管しておきましょう。
- ●採取した証拠は、警察に届けるまで預かってもらうこともできます。
警察
性被害を警察へ届け出ることについて、不安を感じ、ためらう人も多いのではないでしょうか。
警察は犯人を逮捕するだけでなく、被害者に様々な配慮をしています。安心して警察へ被害を届けましょう。
被害にあった方への様々な配慮があります
- ●被害者専用車両 「警察に出入するところを見られたくない」という場合は、車両内で面談してくれます。
- ●女性警察官 女性警察官が増えています。性別の希望があれば、伝えてみましょう。
- ●個人情報厳守 被害に遭ったことなどが他の人に知られることはありません。
- ●心のケア 相談・カウンセリングを行ってくれます。
- ●医療費負担
警察に被害届を出した場合、医療費などを公費で負担してくれる制度があります。
※都道府県により金額等は異なります。 - ●再被害の防止
被害者が加害者から再び危害を加えられないようにするための対策を行っています。
例)被害者への防犯上の指導・周辺のパトロールの強化・緊急通報装置の貸出しなど
全国共通 短縮番号
#8103はーとさん ★女性警察官等が相談を受けます。★お近くの警察の性犯罪被害相談電話窓口に繋がります(通話料無料)◎被害直後は 110 番◎ 犯人逮捕の近道です。
病院
一見しただけではケガがないように見えても、身体の内側や見えないところにケガをしていたり、ショックで痛みを感じなくなっている可能性があります。
特に小さいお子さんは、身体の仕組みについての知識が十分ではなく、表現できないこともあります。
本人が「大丈夫」と言っても、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに連絡し、連携している病院で受診しましょう。
支援センターと連携している病院では、治療の他に、以下のような対応をしてくれます。
連携病院でやってもらえること
- ●証拠採取・ケガの記録
病院で証拠採取をしてもらい、ケガの記録をカルテに残してもらいましょう。
加害者を処罰してほしいと思った時に、証拠と記録が必要になります。
可能な限り、シャワーやお風呂を使う前に、病院へ行きましょう。 - ●緊急避妊ピルの処方 被害による妊娠の可能性がある場合には、望まない妊娠を防ぐため、できるだけ早いタイミングで(できれば被害から72時間以内に)「緊急避妊ピル」の処方を受けて服用しましょう。
- ●性感染症の検査
必要に応じて、病院で性感染症の検査も受診しましょう。結果が出るまで何回か通院が必要になります。
※連携している病院での医療費の全部又は一部は、自治体の公費などで負担してもらえる場合があります。